妖怪道中記 現代編

鬼っ子ハンターついなちゃん その参
方相氏の今

レポート番号7 2022/04/18

鬼っ子ハンターついなちゃんに迫る! その参「方相氏の今」

最前線の妖怪事情や民俗信仰に注目する、妖怪道中記の現代編。

今回はご紹介するのは、
鬼っ子ハンターついなちゃん。そして、ついなちゃんの設定でもある方相氏について。

3部構成で順番にお届けします。

ついなちゃんは、その弐で取り上げたケガレ思想の影響を受ける、それよりもっと前_

鬼(ケガレ)を祓う者

という、古式ゆかしき方相氏と言えます。

現代に蘇えし追儺式

実は、この「鬼(ケガレ)を祓う者」として方相氏が登場する神事が、全国で行わているのです。

道中記でお馴染みの、きつねさんの穴稲荷がある神社のおとなり。五條天神社にて毎年節分に行われる「うけらの神事」もそのひとつです。

五條天神社は医薬の祖神が祀られる神社で、漢方でもある「うけら」が焚かれる中で神事が執り行われます。
神事の中で方相氏は、場を清め、登場する鬼と対峙します。

「神聖なるものとして生と死の境界に立ち、清めを担う」方相氏の原点が伺えます。

2022年の節分に行われた神事の様子を、許可を頂き一部動画に収めました。

公園の緑に囲まれ佇む 上野五條天神社
公園の緑に囲まれ佇む 上野五條天神社

弓矢を用いて四方を清める方相氏。2022年3月に撮影。

他の動画は、↓妖怪雑記帳↓にて公開。全て迫力です。

妖怪雑記帳「うけらの神事ぷちレポート(動画あり)」

外部サイトのご案内

神事が一通り見れるYoutube動画です。
Youtube「五條天神社 うけらの神事(節分) 2014年」(rou sugi様)

神事の流れを詳しく解説している記事です。
上野が好き「うけらの神事」

ここで疑問が沸きます。

平安のケガレ思想で、他の河原ノ者と同様に「祓われる鬼」とみなされた方相氏。
平安以降も「節分の儀は豆まきに変わっていき、方相氏への冷遇は進んで行った」と、公式ブック「『鬼っ子ハンターついなちゃん』ドゥルルゥのコーナー構成台本集」にありました。

にも関わらず、五條天神社や全国の神社の神事に方相氏が「祓う者」として登場するのは、何故でしょうか?
Twitter上で、ついなちゃん(公式アカウント)に直接聞いてみました。

蘇えったその理由

思い切って聞いてみたところ、方相氏が登場する理由について、ついなちゃんが詳しく・アツく語ってくれました。

方相氏が、追儺の儀で最初に復活を遂げたのは大正7年。
そしてなんと!
妖怪研究でも知られる日本風俗史学者・江馬 務氏が、平安神宮をはじめとした神社で、追儺式を復活させたのがキッカケだったそうです。

追儺式復古の時期

  • 1918(大正7)年:平安神宮
  • 1919(大正8)年:吉田神社
  • 1921(大正10)年:梨木神社
  • 1926(大正15か昭和1)年:鞍馬寺
  • 1974(昭和49)年:平安神宮 猪熊兼繁 京都大学名誉教授による

1867-68年の明治維新。日本が国として世界に開かれ、国際化が進む。
やがて世界大戦に突入。1945年(昭和20年)の終戦に至る。
その中で、日本が日本としての在りかた…日本人のアイデンティティが問い直されていった

このような背景が、最古版「追儺式」の復活にあったと話してくれました。

「うふふふ……、日本人に危機が訪れた時……、いつでも方相氏とウチは復活するで〜〜〜!!!ξ😉ξ👍」
Twitterでの語りより

Twitterの語りの全容はモーメントに纏めています。詳しく見たい方は↓ボタン↓からどうぞ。

穢れをのり越え、新たなる人々の思いを込められて、現代に復活を遂げた古式ゆかしき方相氏。
今後も注目していきたいです。

3章に渡って公開した「鬼っ子ハンターついなちゃん」のレポートは、此れにて終了です。
突然のインタビューに快く応じてくれたついなちゃん、大辺璃様、撮影&アップの許可を頂いた五條天神社様、レポート作成に関わったすべての皆さまに、この場を持って感謝申し上げます(__)。

文:妖怪館

鬼っ子ハンターついなちゃん その参 関連ページ

鬼っ子ハンターついなちゃん その参 参考文書

  • 『鬼っ子ハンターついなちゃん』ドゥルルゥのコーナー構成台本集(大辺璃 紗季著/恵方巻コルネ)

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