妖怪しゃべり場! チャットの間 魑魅のささやき
魑魅のささやき 2023年06月のチャット会報告

定期チャット会でどんな話をしているか…

気になる(?)内容を月ごとに閲覧出来ます


チャット会報告 チャットの間 魑魅のささやき報告内容チャット会報告 チャットの間 魑魅のささやき

開催日2023年06月30日(金)
お題疫病退散 厄払いの妖怪
参加人数4名
参加メンバー
(敬称略)
雪風、 フォア、 八神、 しろた

参加頂いた皆様 有難う御座いました


疫病退散 厄払いの妖怪

妖怪による厄払いブームは妖怪界での大きな動きです。
ここでも何度か言及がありましたが、「一度お題にすべきかも」と思いいたりました。


まずはアマビエについて。

アマビエを知る妖怪愛好家でも、まさかここまで一般に浸透するとは思いもよらなかった事でしょう。
予言獣としての側面が強かった妖怪が、いつしか穢れを祓う役割を担い神格化する、現代独特の興味深い変化だと思います。
これに対して、「コロナでアマビエは有名になりました」というコメントがありました。

片陰の牛鬼(ご当地妖怪雑貨屋より)
片陰の牛鬼(ご当地妖怪雑貨屋より)

水木しげる作品に詳しい参加者からも、
「アマビエって割とマイナーな妖怪でしたよね。鬼太郎でも5期が初めての登場でした。」とありました。
アニメに登場したアマビエは女の子でしたが、驚いたことに、水木しげるの妖怪大全に描かれているおっさんのアマビエが、父親としていた模様です。
妖怪大全のアマビエは青年のイメージでしたが、子どもがいるならおっさんでよいのか…そういえば顔が似ているような…。
顔の事はさておき、話によると「父アマビエが、修行目的で子アマビエを東京にいる砂かけ婆のところへ行かせた」という設定だったらしいです。
聞いた限りでは、コロナ前の五期ではアマビエが病魔退散させる設定はなさそうです。詳しく聞いてなかったので正確ではないですが。

このレポは2023年6月の茶会ですが、アマビエはいたる所で露出したため、この時点で妖怪狂いの館主ですら食傷気味になっていました。
多くの人も同様なのか以前ほど騒がれてなくなっていました。
参加者からは「取り上げられなくてお役目御免」とも言われてましたが(笑、コロナ退散の妖怪として定着はしているので良い感じに安定期に入ったのかも知れません。


途中、妖怪館で取り上げた疫病退散の妖怪を紹介しました。

それから、参加者の一人が茶会の時に「厄払いの妖怪」検索でカンニングして、こちらのページを見つけてくれました。

小豆島の妖怪美術館で厄除け妖怪の特別展示【香川・小豆島】|OHK 岡山放送

疫病退散 神様のイラスト| MyRICOH(マイリコー)

道中記で浅草の牛鬼と所縁がありそうと書いた祇園の神・牛頭天王もサイトにあり、茶会では牛頭天王に関心が集まりました。

「毒を以て毒を制すような、災厄の表れである牛鬼が厄払いというのも日本独自ですかね。」というコメントがありましたが、Twitterの宣伝に気を取られ見逃していました。ログ見て気が付きました。すみませんー!
浅草に現れた牛鬼は、川向うにある牛嶋神社に逃げ込み、そのまま社宝の「牛黄」になったと云われています。
牛嶋神社は素戔嗚尊すさのおのみことを祭神としていて、祇園社から勧請された神社です。日本書紀にある禊ぎから産まれた素戔嗚尊も祇園の厄払いの儀礼も、日本独自って事で良いと思います。

また牛頭天王について別の参加者からも、祇園は蘇民将来そみんしょうらいと牛頭天王の伝説が知られていて、牛頭天王と素戔嗚尊は融合されているのかも…というコメントがありました。
牛鬼について調べているときに読んだ祇園社の宮司さんによる手記には、「日本書紀に登場する素戔嗚尊と漢神の牛頭天王(塔武神)が習合したものが祇園信仰」とありました。

そこから、「神道はあらゆるものを融合する性質が強いので、土着や外来の神などを形をかえたり融合させて祀ることが多いです。」という指摘がありました。習合と呼ばれるものですね。
東南アジアのイスラム教にも土俗神だかか妖怪の話があるなど、世界中にある習合についてしばらく語りました。
他の宗教同士が反発や排斥をせずに混じり合うのは、本来の宗教のあるべき姿ではないかと個人的に思います。人類みな妖怪ですから。


習合の話が落ち着くと、アジア方面に詳しい参加者が台湾で有名な嘉義の「義愛公伝」の話をしてくれました。

台湾ではかなり有名らしく、神奈川県のどこかに生まれた森川巡査という警察官が神となったというものです。
その中に伝染病がはやった時、神となった巡査が村長の夢枕に現れて、村長がその通りにしたら伝染病が消えていったという逸話があるそうです。

「神仏が夢現れてお告げをする」いわゆる霊夢ですが、天狗が祀られている建長寺の由来になっていたり、日本でもありますね。

また、日本の警察官が海の向こうの台湾で信仰されていたことを初めて知った参加者からは、「こういう話を教科書で取り上げると良いのに」という声がありました。
他にも神となった日本人が祀られているらしいです。


撫でると病を請け負ってくれるという牛嶋神社の撫で牛|妖怪道中記より
撫でると病を請け負ってくれるという牛嶋神社の撫で牛|妖怪道中記より

最後に、部落研究されてる方から聞いた興味深かった話をしました。

芸を披露して家々を巡る古代から芸能民たちは、神と人との境に立ち、穢れや厄災を祓うとされていました。
今でもそういう自覚を持ちながら生業としている人々がいて、例えば猿回しの猿は、お客さんの穢れを引き受けて持ち帰っていると聞きました。

自ら穢れを請け負って遠ざける…。
これもまた、素戔嗚尊・習合する祇園の神の特性とまた繋がりましょう。


「疫病退散 厄払いの妖怪」の他には?

唐突にいじめについての語りがありました。多分語りたくなったのでしょう。
ただの妖怪好きの集まりなので気の利いた返しは保証できませんが、重い身の上話から軽い愚痴まで語りたいことを好きに語れるのが魑魅茶です(個人情報には気を付けてね)。
他には祇園信仰以外の宗教や漂流系の金色姫伝説について。
それから男性参加者が、昭和の女児向けアニメにショックを受けた話をしていました。

また新しいレンタルチャットのFeederでは、スパムと思われる明らかにチャット目的でない発言をする参加者が二度ほど入室しました。
「普通にチャットしてて空気読めない発言しちゃった★」等はセーフですが、詐欺被害の心配もあるので、スパム系と思われる参加者は出入り禁止・発言削除の対応を取らせて頂きます(__)。

今月のまとめ


アマビエの厄払いの側面は霊和になって注目されたものですが、「日本の地で古くからあった民間信仰の集大成」でもあるんだなと思いました。
また、人々のコロナ退散の願いが、近年見られる妖怪の神格化をさらに加速させている気がします。

類似テーマの回の報告:

2020年03月「疫病と妖怪」 新型コロナウィルスが広まった3,4カ月後に、一度テーマにしました

2020年08月「霊和のアマビエ」 霊和のアマビエに注目した回です

2021年10月「コロナ禍を振り返る」 さらに幾月後、コロナ禍の妖怪を改めて振り返りました

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