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妖怪しゃべり場! チャットの間 魑魅のささやき
魑魅のささやき 2015年5月のチャット会報告

定期チャット会でどんな話をしているか…

気になる(?)内容を月ごとに閲覧出来ます


チャット会報告 チャットの間 魑魅のささやき報告内容チャット会報告 チャットの間 魑魅のささやき

開催日2015年5月29日(金)
お題山の怪
参加人数5名
参加メンバーブラックエクスプレスさん ひだまりこたつさん ?さん 雪風さん 館主しろた

参加頂いた皆様 有難う御座いました

 今回のお題が山の怪って事で、しろたが長野県の母の実家で聞いた「小豆とぎ」の話がきっかけで、小豆とぎの話題で持ちきりになりました。

 小豆とぎ(小豆あらいと呼ばれるケースもある)は、全国各地にある伝承で河原に現れ小豆をとぐ音が聞こえるという怪異で、場所によっては「小豆とごうか、人とって食おうか、ショキ、ショキ」等の歌のサービスのオプションもついてるみたいです。

 しろたが聞いた母に聞いた小豆とぎは、山間の農村で小豆とぎが現れるという川があったそうです。今は埋められて川はありませんでした。
 歌の話は無く、正体は狸じゃないかって事でした。
 なんとなく、、、小豆を洗っているアライグマを想像しました(;*´Д`)カワイイ。

妖怪館定期チャット会5月イメージ

無料写真素材 photoACさんより

 そこから、小豆とぎの正体について色々話をしました。

 しろたが聞いた長野県某所の小豆とぎの正体は狸でしたが、関東だとキツネ(?)・かわうそ(広島あたり)・また同じ長野県では狢が正体とも云われているそうです。狢は狸と類似している・もしくは同一とされているので、いろいろ交錯しているのかもって事でした(`・ω・´)。
 また、殺された小坊主という悲しい伝承もあるそうです。これは江戸時代の「絵本百物語」に よるものらしく、ストーリー性や幽霊が登場するっていう江戸の怪異の特徴が出ていますね!(舞台は新潟ですが)

絵本百物語の小豆洗い(Wikiページが開きます)

 小豆とぎの伝承は全国各地にありますが、正体の説ひとつを取ってもその場所や時代ごとに異なり、その特徴が現れますね~。とても興味深いです(;*´Д`)。

 また、小豆とぎに似ている妖怪というと、天井で小豆を撒く音がする小豆はかり、狸が正体という説のある砂かけ婆、埼玉県川越市に伝わり子供をさらう小豆婆が挙げられました。
 さらに小豆はかりと砂かけ婆は、「撒く」という行為が共通しているって事でした。
 それと小豆婆は、山間の村の言い伝えではなく町で音だけではなく実際に子供をさらっている(とされる)違う点。小同時に豆とぎは子供に川に行ってはならない・小豆婆もさらわれるから廃寺に行ってはならないという子供への言い聞かせの意味があるという共通点があるみたいですね^^。

 あと小豆はおめでたい時に食べるものという事で、何か意味があるのではないかって話もしました。
 さらに、神事では米を撒いたりするみたいなので(神主さんのブログに「穀類は高い霊性の宿るものとされている」って書いてました)、小豆系妖怪がやたら神聖な存在に思えてきました(;´Д`)。

 5月チャット会から1年以上になって分かった事ですが、村上健司著「日本妖怪事典」に祭礼と関連する小豆洗いの解説を見つけたので追記します。

民俗学の解釈によれば、小豆は祝祭日、神祭用の特別な食品であり、祭礼の直前に守られる厳粛な物忌みの趣旨が忘れ去られて、恐ろしいものが出る期間と思われるようになったための産物が小豆洗いの怪である、というようことが「日本民俗事典」にあり、共同幻聴のようなものだとしている。(角川書店「日本妖怪事典」小豆洗いより)

 それと、「アヤカシにとってめでたいのは人を喰う時!」という意見もありました^^。

川でシャカシャカと音が聞こえる(原因不明の現象の発生)

誰かが小豆を研いでいるんだ!(者を想定→原因を創り出すことで不安を取り除く)

「小豆洗ってるやつを絵に描いてみたよ」(キャラクター化・情報発達した社会に多いかも?)

 以上の通り。小豆とぎは、現象が妖怪になるステップを踏んでいるのが分かりました。

 小豆とぎ以外の山の怪では、雪女の話題もありました。
 雪女(雪女郎)は美女のイメージが強いよねって話でした。
 また、雪女は場所ににより性格・容姿が異なるって事でした。人に恩恵をもたらす反面、時には死に至らせる山の自然そのものですね。
 雪女の恐ろしさは、尊敬と共に山の恐ろしさを人へ伝える意図があるように思いました。

 もうひとつ山の怪では、ひだる神の話題も出ました。
 都心の都会の真ん中で「何か食べなきゃ動けない」ひだる神に取り憑かれたような状態になったという話がありました。
 場所は全く異なっていても、生きている人は自然に左右され命をおびやかされる存在である、ということは変わらない。現代の都市で、ひだる神がいてもおかしくないのではないかもって思いました。

 他には山に棲む山童・山の怪以外では、ベトナムの英雄がモデルとなっている猫将軍・五徳猫・鬼太郎の一刻堂。
 それから、二月のチャット会で話した酒呑童子などの鬼や反逆のヒーロー的な話でも盛り上がりました。

 安部晴明の話もあり皆さん興味ありそうな感じだったので(多分)、幅を広めて「陰陽師」ってことで次のお題に回したいと思います\(゜▽゜)/。

今月のまとめ

話の3分の1が小豆洗いという前代未聞の内容となりました。
小豆とぎは全国に広まっていて諸説あり、更に神聖さも兼ね揃えた奥の深い妖怪だと思いました。

また、山の怪は、人が抱く山そのものへの畏怖が込められている存在なんだなと実感しました。